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深夜0時、ベッドの上。今夜こそ読みかけの本を進めるつもりだった俺は、10分後、無言でiPadを顔面に落とした。
この現象に正式名称がないのが不思議でならない。仰向けでタブレットを掲げる姿勢は、開始数分で腕が震え出す簡易筋トレである。重力に負けて横向きになれば、今度は片目が枕に埋まって視界が半減する。ならばうつ伏せだと寝返りを打てば、肘への荷重と首の反り角度が急速に体力を削り、5分後には「読書とは苦行である」という悟りに到達する。人類はスマホとタブレットという最高の暇つぶし装置を発明したのに、「ベッドで快適にそれを見る姿勢」だけは、いまだに発明していないのだ。
スマホを顔に落として鼻を強打した経験のある人類は、控えめに言って数億人いると思う。しかも俺たちのベッド滞在時間は年々延びている。電子書籍、動画配信、SNS。ベッドは眠る場所から「画面を見る場所」に静かに業態変更を遂げたのに、寝具側のアップデートが追いついていない。布団と枕は、あくまで寝るための装備のままなのである。
俺はこの問題を工夫で乗り切ろうと、枕を2つ重ね、壁にもたれ、クッションを腰に挟み、あらゆる民間療法を渡り歩いてきた。どれも数日で崩壊した。枕タワーは崩れ、壁もたれは腰が空洞になり、クッションは朝には床に亡命している。
そこで導入したのが、今回の主役、Keepsのピロークッションである。読書やiPad視聴のために作られた専用クッション。果たして専用品は民間療法に勝つのか。結論はタイトルの通り「どこまで解決するか」という距離感の話になる。誇張なしで書いていく。
Keeps ピロークッションとはどんなクッションか
まず紹介から。Keepsのピロークッションは、ベッドやソファの上での読書やタブレット視聴を想定して作られたクッションだ。ジャンルとしては「読書クッション」「ピロークッション」と呼ばれる系譜のアイテムで、普通の枕との違いは、くつろぎ姿勢のときに体を支えることを目的に設計されている点にある。
この系譜のクッションが解決しようとしているのは、まさに冒頭の「ベッド上の姿勢問題」だ。人間の体は、平らなベッドの上で画面や紙面を長時間見るようにはできていない。だから、角度と支えを外付けする。姿勢を根性で維持するのではなく、道具に肩代わりさせる。読書クッションというジャンルの思想は、要するにそういうことだ。
サイズ感や生地、細かい仕様、そして価格は変動や仕様変更もあり得るので、正確なところはリンク先の商品ページで確認してほしい。ここでは「ベッド上のくつろぎ姿勢を支える専用クッション」と押さえてもらえれば十分だ。
実際に使った本音レビュー:魔法ではない、が
先に俺の感想を、ほぼそのまま置く。
正直、魔法のクッションではない。ただ、ベッドでiPadを見たり読書する用途では「ちょうどよく姿勢がラク」になる。期待以上ではないものの想像どおりで、使い続けたいと思える快適さはある。一方で首のホールド感は弱めなので、寄りかかって作業したい人には向かない。合う使い方がハマれば満足度は高い、そんなクッションだ。
順番に分解していこう。まず「ちょうどよく姿勢がラク」の部分。これがこのクッションの核心だ。体を預けると上半身にゆるやかな角度がつき、iPadを持つ腕の高さと目線が自然に揃う。腕を掲げ続ける筋トレ状態から解放され、首も「画面を覗き込むための無理な前傾」をしなくて済む。何が起きているかというと、いままで俺の腕と首が根性で負担していた仕事を、クッションの形状が肩代わりしている。ただそれだけのことなのだが、そのただそれだけのことを、俺たちは何年も放置してきたわけだ。
効果はシンプルに時間で観測できた。10分で崩壊していた読書姿勢が、気づけば1時間持つようになった。姿勢の組み直し回数が減るから、読書や動画への没入が途切れない。おかげで読みかけのまま床に積まれていた本が、数冊ぶん消化された。寝る前の読書が「姿勢との格闘」から「ただの読書」に戻った、というのが一番正確な表現だと思う。なお、これは紙の本でも同じで、iPad専用というわけではない。
ただし「魔法ではない」。ここを誇張したくない。姿勢の悩みが完全消滅して無重力の読書空間が生まれる、というものではないのだ。長く同じ姿勢でいればそれなりに体は固まるし、時々もぞもぞと座り直しもする。期待値で言えば「劇的ビフォーアフター」ではなく「明確な改善」。俺は購入前、レビューの評判から半ば魔法を期待しかけていたので、この距離感は正直に共有しておきたい。想像どおりの働きを、想像どおりにしてくれる。それが実態であり、そして道具としてはそれで十分に合格なのである。
さて、ここから闇、というより明確な弱点の話。首のホールド感は弱めである。このクッションに寄りかかってノートPCで作業したり、長文を打ったりする使い方を考えている人は、たぶん後悔する。頭から首を預けて固定するような強い支えではないので、腕を前に出して何かを操作し続ける能動的な姿勢では、支えの物足りなさが先に立つのだ。俺も一度ベッドワークを試みたが、30分で座椅子が恋しくなった。これは欠陥ではなく設計思想の問題で、こいつは「くつろぎながら見る」ための道具であって、「働くための背もたれ」ではない。
小さな闇も2つ追加しておく。ひとつ、ベッドの上でそれなりの存在感がある。使わない時間帯のこいつは、単なる大きめの同居人だ。部屋とベッドの広さに余裕がない人は、置き場所を一晩考えてから買うといい。俺は考えなかったので、毎朝ベッドの隅に押しやられたこいつと目が合っている。ふたつ、快適さが家族にバレると接収される。うちでは導入3日目にして所有権が曖昧になり、現在は先着順という運用でなんとか均衡を保っている。快適グッズ共通の宿命である。
総評しよう。「ながら見・読書」という用途に絞れば、想像どおりに働く実直な道具。作業用の背もたれを求めると外す。 用途のピントさえ合えば、満足度は高い。
合う人・合わない人:読書クッションの選び方
ここでロジカルに整理する。ベッドの上で何をしたいかによって、人類は2派に分かれる。
(1)ベッド上娯楽派。 iPadで動画や電子書籍、紙の本、スマホゲーム。受動的にくつろぐ時間を快適にしたい人々。必要なのは「ゆるやかな角度と支え」だ。
(2)ベッド上作業派。 ノートPCやタブレットで返信を打ち、資料を作りたい人々。必要なのは「腰から首までを固定する強い支持」だ。
Keepsのピロークッションが幸せにできるのは、明確に(1)である。(2)の人がこれを買うと、「首のホールドが弱い」という弱点に真正面から衝突する。作業派は座椅子タイプや、背中から頭まで支える大型の背もたれクッションを検討するほうが合理的だ。これは道具の優劣ではなく、用途とのマッチングの問題である。逆に言えば、娯楽派が大型の座椅子を買うと、今度はベッドの上が座椅子に占領される。適材適所だ。
既存の民間療法との比較もしておこう。「枕を2つ重ねる」文明は、初期費用ゼロという圧倒的な強みを持つが、角度が安定せず、崩れるたびに組み直しが発生する。「壁にもたれる」文明は、壁との距離と気合に依存する上、腰に空洞ができて数十分で敗北する。専用クッションの価値は、快適さの最大値というより「毎回同じラクな姿勢が、置くだけで再現される」という再現性にある。人間は快適のために毎晩工夫を続けることはできないが、置くだけなら毎晩できる。ズボラこそ専用品に頼るべき、というのは俺の数少ない人生の教訓だ。
購入前のチェックポイントも置いておく。一、自分の用途は「見る」が主か「作業する」が主か。二、ベッドに置きっぱなしにできるスペースがあるか。三、魔法を期待していないか。三つ目が一番大事だ。これは姿勢の悩みをゼロにする装置ではなく、毎晩の30分を「ちょうどよくラク」にする装置である。その期待値で迎えれば、こいつは想像を裏切らない。
結論:「快適は角度でできているの法則」
最後にまとめよう。今回俺が得た教訓は「快適は角度でできているの法則」だ。
ベッド上の不快の正体は、体力でも根性でも歳のせいでもなく、大部分がただの角度の問題である。腕の角度、首の角度、目線の角度。そこに適切な角度をひとつ外付けした瞬間、同じベッド、同じiPad、同じ俺のままで、体験の質だけが変わった。魔法は起きない。だが物理は起きる。そして物理は毎晩、機嫌に左右されず再現されるのだ。
寝る前の30分を姿勢との格闘に費やしてきた人は、その30分が年間180時間を超えることを一度計算してみてほしい。仮にその大半がラクになるなら、クッションひとつの投資としては悪くない取引だと俺は思う。毎晩ベッドで何かを読み、何かを見る人間にとって、これは贅沢品ではなく環境整備だ。自分の用途がハマると思った人だけ、リンク先で詳細と現在の価格を確認してほしい。


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