PlayStation Portal レビュー|子どもが寝た後の30分に、ゲーム人生を取り戻す機械

暗い部屋で光るハンドヘルドゲーム機

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家族が増えた家のテレビには、暗黙の使用権ヒエラルキーが存在する。

最上位は子どものアニメ。次に配偶者のドラマ。ニュースがその下に続き、最下層でひっそりと存在しているのが「父のゲーム」である。PS5という最新鋭機を導入した我が家ですら、この序列は覆らなかった。本体は元気にリビングに鎮座しているのに、俺がその画面と接続できるのは、家中が寝静まった後のわずかな時間。しかもリビングでコントローラーのカチャカチャ音を立てれば、寝かしつけたはずの子が起動する。ゲーム機はあるのに、ゲームができない。現代の飢餓である。

この飢餓を解決したのが、PlayStation Portalだ。結論から言うと、これは「PS5を寝室に持ち込む魔法の板」であり、俺のゲーム人生はテレビの使用権ヒエラルキーから独立した。

PlayStation Portalとは:PS5を「手元に飛ばす」専用機

Portalは携帯ゲーム機に見えるが、正確には違う。PS5のリモートプレイ専用機である。ゲームの処理自体は家のPS5本体が行い、その映像をWi-Fi経由でこの端末に飛ばし、手元のコントローラー操作を送り返す。つまり単体では動かず、PS5があって初めて意味を持つ「子機」だ。

構造としては、8インチ画面の左右に、PS5の純正コントローラーを縦に割って付けたような形。この設計が地味に偉くて、操作感が本物のコントローラーそのままなのだ。携帯機にありがちな「小さいボタンで我慢する」感覚がない。対応環境や現在の価格はリンク先で確認してほしい。

Portalを使った本音レビュー

俺の感想はこうだ。

子供が寝静まった後、部屋でできる! 最高! たまに電波が悪いのか画質が酷くなることあり。うーむ。

光の話から。この機械の価値は、性能表には載っていない一行に集約される。「ゲームをする場所が、テレビの前でなくてよくなる」。寝室のベッドで、布団をかぶりながら、あの大作の続きができる。子どもの寝かしつけで一緒に落ちかけた夜も、隣の部屋でそっと再開できる。ゲーム時間の絶対量が増えたというより、今まで死んでいた時間と場所がゲーム可能領域に変わった。PS5のレビューで俺は「大人のゲームの敵は就寝時間」と書いたが、Portalはその敵陣に忍び込むための夜間装備である。

操作感も文句なしだ。アダプティブトリガーや振動もちゃんと手元で再現され、「リモートだから我慢している」感が薄い。画面も8インチあれば、ベッドの距離では十分な迫力が出る。

さて、闇。感想のとおり、通信が乱れると画質が露骨に崩れる。映像はWi-Fiで飛んでくる生放送のようなものなので、電波状況が悪いと、大作の美しい風景がモザイク画のようになり、「うーむ」と唸ることになる。我が家では時間帯や場所によってこれが起きた。ルーターとの位置関係、家の間取り、回線の混み具合に体験が左右されるのは、リモートプレイ専用機の宿命だ。導入するなら、Wi-Fi環境をある程度整える覚悟はセットで持ってほしい。

もう一つの注意は、繰り返すが単体では何もできないこと。PS5を持っていない人が買っても、それはただの画面付きコントローラーである。

初陣の夜のことを書いておこう。子どもの寝かしつけを終え、隣で自分も落ちかける寸前だった22時半。以前ならここで「リビングに戻ってテレビをつける気力はない」と敗北宣言していた時間だ。その夜はベッドサイドのPortalに手を伸ばし、電源を入れた。数十秒後、俺は布団の中で大作の続きをやっていた。リビングのPS5が、壁の向こうで黙々と演算し、その成果だけが俺の手元に届いている。この「本体は居間、体験は寝室」という分業の初体験は、ちょっとした未来だった。しかも音はイヤホンに逃がせるので、家庭内の静寂は完全に保たれる。誰も起こさず、誰にも譲らず、俺の夜だけが静かに延長された。

画質モザイク問題との戦いについても、試行錯誤の記録を残す。我が家の場合、寝室がルーターから壁二枚を挟んだ位置にあり、時間帯によって映像が崩れた。効いた対策は三つ。ルーターの置き場所を家の中心寄りに移す、Portalを使う時間帯に家族の動画ストリーミングと重ならないよう運用でずらす、そして最終的には中継機の導入である。ここまでやると、体感の安定度は別物になった。つまりPortalの体験の質は、本体価格に「Wi-Fi環境整備費」を足した総額で決まる。これから買う人は、その予算感でいてほしい。

もう一つ、意外な使い方が我が家で定着した。テレビが家族に占有されている休日の昼、ソファの隅でPortalを使うのだ。リビングにいながら、テレビと別のことができる。家族と同じ空間で過ごすことと、自分の趣味を諦めないことが、一枚の板の上で両立する。「ゲームは自室にこもってやるもの」という前提が崩れると、家庭内のゲーム観そのものが少し平和になる。ゲーム機の周辺機器が家族関係の緩衝材になるとは、ソニーも想定していたのかどうか。

総評するなら、PS5所有者かつ「テレビが自由に使えない」人にとっては、体験を根本から変える神器。通信環境という土台だけは、先に確認しておくべき

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Portalは誰のための機械か:状況で診断する

この端末は万人向けではない。効く人には劇的に効き、効かない人には全く要らない。診断しよう。

(1)テレビをいつでも占有できる人。 要らない。あなたはすでに最高の環境でPS5を遊べている。Portalは問題のない場所に薬を塗る行為だ。

(2)テレビ争奪戦の敗者(俺はここ)。 買う価値が最も高い層。家族の生活リズムとゲーム欲を両立させる現実解であり、「ゲームを諦める」以外の選択肢をくれる。夜のリビングの静寂を守りながら大作を進められるのは、革命に近い。

(3)外出先でも遊びたい人。 一応、外のWi-Fi経由でも理屈上は繋がるが、体験は回線品質次第でギャンブルになる。「家の中の別の部屋」用途が本命だと思っておいたほうが、期待値のズレがない。

買ってはいけない3か条。一、PS5を持っていない人(何度でも言う。単体では動かない)。二、家のWi-Fiがすでに動画視聴でも不安定な人(画質モザイク現象と常に戦うことになる)。三、遊ぶ場所に困っていない人。

逆に、「PS5はあるのに、遊べていない」人。あなたの積みゲーの山を崩すのは、本体の性能ではなく、この板かもしれない。

導入前に知っておくと幸せになれる実務も、まとめておく。

Wi-Fi環境の事前チェック方法。 一番簡単なのは、Portalを使う予定の場所(寝室のベッドの上など)で、スマホの動画ストリーミングが高画質のまま止まらず再生できるかを見ることだ。ここで既に怪しいなら、Portalの前にルーターの見直しが先である。順番を間違えると「Portalが悪い」という誤った判決を下すことになる。

よくある質問。Q. PS5が別の部屋でも本当に動く? 動く。それがこの機械の存在意義だ。ただしPS5本体側は電源が「レストモード」であれば手元から起こせるので、設定を確認しておくこと。Q. フル機能が使える? リモートプレイの仕組み上、一部対応しない機能やコンテンツはある。自分が遊びたいタイトルが快適に動くかは、環境込みでの相性確認が要る。Q. イヤホンは使える? 使える。そして夜間運用では必須装備だ。静寂を守ってこそのPortalである。

家庭内交渉についての助言。 この機械の稟議は、実はPS5本体より通りやすい。「リビングのテレビを空ける」「夜中の音問題を解決する」という、家族側のメリットが明確だからだ。俺は「テレビ、もう占領しないから」の一言で承認を得た。ゲーム機の周辺機器でありながら、実態は家庭平和維持装置なのである。

あとは、寝落ち対策だけ気をつけてほしい。布団の中でゲームができるということは、ゲームをしたまま眠れるということでもある。顔面へのPortal落下は、iPadより軽いとはいえ、それなりの衝撃と虚無感がある。経験者は語る。

もう一つの発見は、Portalが「短いゲーム」の価値を再発見させてくれたことだ。布団の中の30分に合うのは、大作の重い続きだけではない。インディーゲームの小品や、パズル一本がちょうど収まる。テレビの大画面では起動しなかったジャンルが、手元の8インチでは気軽に開ける。積みゲーの山の裾野にあった小さな名作たちが、Portalの導入で次々と消化されていくのは、想定外の収穫だった。

結論:「ゲームは隙間に住まわせろの法則」

最後にまとめよう。今回の教訓は「ゲームは隙間に住まわせろの法則」である。

大人になったら、ゲームのためのまとまった時間と専用の場所は、もう戻ってこない。それを嘆いて引退するか、生活の隙間——寝かしつけ後の寝室、家族が寝た後の布団の中——にゲームを住まわせるか。Portalは後者を選んだ大人のための機械だ。テレビの使用権ヒエラルキー最下層から、静かに独立戦争を起こそう。

Wi-Fi環境の確認だけ済ませたら、現在の価格をリンク先で見てほしい。今夜の寝かしつけから、あなたの夜は二毛作になる。

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