フランクリン・プランナー デイリー・リフィル レビュー|アプリ全滅の男が「紙の手帳」で頭の中を整理できた話

開かれたシステム手帳と万年筆

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タスク管理アプリを何個乗り換えたら、人は「やるべきこと」を管理できるようになるのだろうか。

俺のスマホには、タスク管理アプリの墓場がある。シンプル系TODOリスト、かんばん方式、ポモドーロタイマー連動、AIが優先順位を提案してくる意識の高いやつ。どれも導入初日は全能感に包まれた。俺の人生、ついに整理された、と。それが3日後には通知を既読無視するようになり、2週間後にはアプリの存在自体を忘れ、気づけばまた頭の中だけで仕事を回してテンパっている。管理したかったのはタスクなのに、増えていくのはアプリのアイコンだけ。この現象に、誰か学術的な名前を付けてほしい。

そんな俺が最後に流れ着いた先が、まさかの紙だった。フランクリン・プランナーの「7つの習慣」デイリー・リフィル、12ヶ月版。デジタル全盛のこの時代に、システム手帳のリフィルへの逆走である。周回遅れと笑いたければ笑えばいい。ところが、これが期待以上だったのだ。今日はその理由と、あわせて必要になる覚悟の話を書く。

フランクリン・プランナー デイリー・リフィルとはどんな手帳か

まず整理しよう。フランクリン・プランナーは、世界的ベストセラー『7つの習慣』の思想をベースに設計された手帳ブランドだ。ただのスケジュール帳ではなく、「重要事項を優先する」という原則を紙面のレイアウトそのものに焼き込んであるのが特徴で、言ってみれば、自己啓発書を「毎日使う道具」に翻訳した存在である。読んで感動して終わり、を許さないという執念を感じる設計だ。

今回のデイリー・リフィルは、そのシステムの中核にあたる。1日単位でページが割り当てられ、今日のタスクを書き出して重要度と着手順を振っていく欄、時間軸のスケジュール欄、打ち合わせのメモや思考を書き殴るスペースがワンセット。つまり「今日やることを全部書き出し、重要な順に並べ、上から潰す」という運用が、紙面の構造として最初から組み込まれている。使う側が管理の仕組みを自力で発明しなくていい。この作り込みが、フランクリン・プランナーの本体だと思う。12ヶ月版は文字通り1年分がまとまった構成で、腰を据えて1年間運用する前提の分量である。

注意点をひとつ。これは「リフィル」、つまり中身の紙だけであり、綴じるためのバインダーは別途必要になる。サイズ規格の適合、開始月の種類、現在の価格は変動・種類があるので、リンク先で確認してから買ってほしい。リフィルだけが先に届き、綴じるものが家になくて初日から詰む。そんな間抜けな開幕を経験するのは、俺だけで十分だ。

使い込んで分かった本音レビュー(タスク管理・頭の整理・かさばり問題)

光から行こう。使っている俺の率直な感想はこうだ。

作り込みがしっかりしていて、1日のタスク管理がとても整理しやすい。使い始めてから頭の中が自然と整理される感覚があって、正直、期待以上だった。

「頭の中が整理される感覚」なんて、使う前の俺なら胡散臭いと一蹴していた表現である。だが実際に起きたことを分解すると、種は意外なほどシンプルだった。朝、今日のタスクを全部書き出す。この時点で、脳が「覚えておく係」を解雇される。次に重要度を付ける。この時点で「どれから手を付けるべきか」という無限の逡巡が消える。あとは上から順に潰すだけ。つまりこの手帳は、脳内で永久ループしていた「あれやらなきゃ」を紙面に固定する外部ストレージなのだ。メモリの少ない俺の脳には、この外付けが劇的に効いた。夕方になっても頭が散らからない日が増えた、というのが一番の実感である。

それと、使う前には想像していなかった副産物がある。書き終えたページが「記録」として溜まっていくのだ。あの案件はいつ動き出したか。先月の自分は何に時間を溶かしていたか。ページをめくれば全部残っている。アプリの完了タスクは達成と同時に虚空へ消えていくが、紙の完了タスクは、消し込みの線を引かれた姿のまま武勲として蓄積される。この「やった感」の物理的な堆積が、継続の燃料として想像以上に強い。

もうひとつ、紙ならではの効能も白状しておく。手書きは入力より遅い。だがその遅さのぶん、タスクを書きながら「これ、本当に今日やる必要があるのか?」と一考している自分がいる。アプリ時代の俺はワンタップで無限にタスクを溜め込み、膨れ上がったリストに絶望して逃亡した。書くコストがあるだけで、タスクは自然と厳選される。遅さは欠陥ではなく、関所だったのだ。

さて、闇だ。3つある。

闇その1、かさばる。 1日単位のページが12ヶ月分。全部まとめれば物理的に立派な厚みになる。全期間を持ち歩こうとするとカバンの中で鈍器と化すので、直近の分だけバインダーに綴じて、残りは自宅で保管する分冊運用が現実解だ。この知恵に到達するまでの数週間、俺は毎日鈍器を運搬して肩を凝らせていた。

闇その2、白紙が責めてくる。 書けなかった日は、日付が印刷された白紙がそのまま残る。アプリなら見なければ済むが、紙は物理としてそこに存在し続ける。サボった数日分の白紙をめくって今日のページにたどり着く朝の気まずさは、なかなかのものだ。ただ、この気まずさが再開のトリガーになるのも事実で、俺は白紙の真ん中に「何もせず。反省」とだけ書いて仕切り直したことが二度ある。手帳に謝罪する人生になるとは思っていなかった。

闇その3、毎日数分の儀式が要る。 朝にタスクを書き出し、夜に振り返る。合計しても10分に満たない時間だが、これを確保できない生活リズムだと、ただの高級メモ帳と化す。道具は、運用されて初めて道具である。逆に言えば、この10分を確保する覚悟さえあれば、リフィルの作り込みが残りの仕事を全部してくれる。

総評しよう。毎日の行動をきちんと管理したい人には向いている。そして俺個人としては、毎年これでいきたいと思えるリフィルだ。 来年も紙に戻る。もう決めた。

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手帳アプリ・綴じ手帳と比較して分かる選び方

ここでタスク管理界の勢力図を、冷静に3派閥へ整理する。

(1)アプリ派。 検索、通知、繰り返し設定、チームでの共有。機能面では圧勝だ。すでにアプリで習慣化に成功している人は、そのまま行けばいい。ただし俺のように「導入して満足」を繰り返すタイプには、機能の多さは継続を1ミリも保証してくれない。しかもスマホを開いた瞬間、隣にはSNSという時間泥棒が住んでいる。タスクを確認しに行って、30分後に犬の動画を見ている生き物。それが人間だ。

(2)綴じ手帳のマンスリー・ウィークリー派。 軽い、安い、一覧性が高い。「予定」の管理だけならこれで完成している。ただし1日あたりの面積が小さく、タスクの書き出しから優先順位付け、実行の記録までやるには土地が足りない。予定表とタスク管理は、似ているようで別の業務なのだ。

(3)デイリー・リフィル派。 1日単位の広い面積で、予定もタスクも思考も全部受け止める重量級。そのかわり、かさばる、毎日の儀式が要る、バインダー込みの初期投資が要る、と維持コストも重量級である。

選び方の軸はひとつだけ。管理したいのは「予定」か、「行動」か。 会議の時間を忘れないためだけなら、アプリかマンスリーで足りる。1日の使い方と優先順位、つまり自分の行動そのものまで管理したいなら、書くための面積が要る。面積は思考の作業台だ。狭い台の上では、タスクの並べ替え作業はできない。

費用面の補足もしておく。手帳のリフィルとしては高級な部類に見えるが、仮に1年365日で日割りにすれば、1日あたり数十円のオーダーに収まる計算もできる(価格は変動するので、あくまで仮の算数として見てほしい)。毎日使う道具の値段は、総額ではなく日割りで評価するのが公平だと俺は思う。

手を出してはいけない3か条。 一、毎朝5分の儀式すら確保する気がない人(高級メモ帳が1冊増えるだけだ)。二、荷物を1グラムでも軽くしたい人(分冊してもなお、身軽とは言えない)。三、白紙のページに精神を削られやすい人(この手帳の白紙は、想像よりずっと雄弁に責めてくる)。

結論:「書かない予定は存在しないの法則」

まとめよう。この手帳で回した日々から、俺は「書かない予定は存在しないの法則」を確信した。

頭の中の「やらなきゃ」は、まだ予定でもタスクでもない。あれはただの不安だ。紙に書き出し、順位を付け、時間の枠に置いて、初めてそれは実行可能な予定になる。フランクリン・プランナーのデイリー・リフィルは、その変換を毎朝強制してくる装置であり、言い換えれば、不安を予定に翻訳する辞書である。翻訳された不安は、もう怖くない。潰せる形をしているからだ。偉人の名を冠した手帳に毎朝説教される生活は、想像していたより悪くない。

購入前の実務メモをひとつ。リフィルにはサイズ規格と開始月の種類があり、価格も変動する。手持ちのバインダーとの適合を含め、リンク先で現在の仕様を確認してほしい。それさえ済めば、あとは簡単だ。明日の朝、最初のページに、あなたの頭の中の不安を全部書き出してみればいい。書き終えた瞬間の頭の軽さが、このリフィルの最初の成果物になる。

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