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俺には、人にちょっと自慢できる特技がある。腹筋を「明日から」に延期するスピードだ。たぶん県大会くらいなら出られる。
思い返せば、俺の腹筋史は延期の歴史だった。正月に立てた目標は成人の日を越えられず、夏前に始めた自重トレは梅雨と一緒に消えた。腹筋ローラーは買って3日で部屋干しタオルの相棒になり、トレーニングアプリは通知を切られて静かに眠っている。分かっているのだ。やればいいことは。やらないだけで。
動機は人並みにある。健康診断の結果とか、椅子に座ったときのベルトの上の存在感とか、階段でのちょっとした息切れとか。人生で腹筋をしたほうがいい理由を挙げろと言われれば、俺は30分は話せる。やらない理由は一つしかない。面倒くさい、それだけだ。そしてこの一つの理由が、30の理由に全勝し続けている。
世の中の腹筋論は、だいたい「やる気の出し方」を語る。だが俺くらいの延期強者になると分かる。やる気は出し方の問題ではない。出ないのだ、構造的に。だから必要なのは精神論ではなく、「やる気がゼロでも回る仕組み」である。
そこで手を出したのが、シックスパッドのメディカルコアだった。結論を先に言うと、これは筋トレの代わりでも、魔法の痩身装置でもない。「分かっちゃいるけどやらない」人間のための、極めて現実的な妥協案である。今日はその妥協の中身を、光も闇も込みで書く。
シックスパッド メディカルコアとはどんなEMSか
基本情報を整理しよう。シックスパッドは、EMSブランドとして広く知られるシリーズだ。EMSとは、電気刺激で筋肉を動かす仕組みのこと。自分の意志で力を入れなくても、機器側から刺激が入るのが特徴だ。メディカルコアはそのシックスパッドの製品群の中で、お腹まわりに装着して使うタイプである。細かい仕様や付属品、消耗品の有無といった条件はモデルや時期によって違い得るので、正確なところはリンク先で確認してほしい。
使い方は、装着してスイッチを入れ、レベルを選ぶだけ。両手は空くので、その間にメールを返すことも、ソファで動画を見ることもできる。「トレーニングのための時間を確保する」という、俺が20年勝てていない敵と戦わなくていい。ここがこの手のEMS機器の本質だと思う。
一応くぎを刺しておくと、名前に「メディカル」とあるが、この記事では医療的な話や効果効能には立ち入らない。分類や認証といった正確な情報はメーカーの公式表記とリンク先で確認してほしい。俺が責任を持って語れるのは、一人のズボラの生活にこの機器がどう収まったか、それだけである。
本音レビュー:EMSの刺激は続けられるのか(個人の体感)
使い続けている俺の率直な感想は、こうだ。
正直、腹筋が続く人には不要かもしれない。でも俺みたいに「分かっていてもやらない」タイプには、スイッチを押すだけで筋肉に刺激が入るのは現実的な解決策だ。派手な変化はないが、続けられる時点で価値はある。
まず体感の話から。レベルを上げていくと、お腹がグッと締め付けられるような刺激が来る。初めて使った日は「思ったより本格的に来るな」と身構えた。この感覚の強さや心地よさは完全に個人差の領域なので、あくまで俺の体感として聞いてほしい。少なくとも「つけている意味を感じないほど微弱」ではなかった、というのが正直なところだ。
そして肝心なのは、これが続いているという事実である。俺の腹筋関連の継続記録は、アプリも器具も含めて過去最長を更新中だ。理由は明快で、俺に要求される行動が「装着してボタンを押す」だけだから。やる気の在庫を1ミリも消費しない。ソファに沈みながらでも実行できる。継続のハードルが、俺の人間性の最低ラインより下に設定されている。ここが偉い。
運用面の実際も書いておく。俺の場合は、夜に動画を見る時間に組み込んだ。「ながら」で完結するので、新しい時間を捻出する必要がない。ここが腹筋ローラーとの決定的な違いで、ローラーは「やる時間」と「やる決意」の両方を要求してくるが、こいつはどちらも要求してこない。続けられる仕組みとは、要するに人間に要求をしてこない仕組みのことだ。
さて、闇も正直に書く。
闇その1、派手な変化はない。 鏡の前で分かるような劇的な何かは、俺には起きていない。「痩せる」「腹筋が割れる」といった期待で買うものではないし、俺はそういう約束を一切しない。そもそも体型は食事や生活全体で決まるもので、機器一つで人生が変わるなら、世界はもっと逆三角形の人間で溢れているはずだ。
闇その2、価格。 安くない。「続くかどうか分からない自分」への投資としては、正直勇気の要る金額帯だ。俺は「ジムに入会して行かなくなった過去の月会費」を思い出して自分を納得させたが、この理屈が通じるかは人による。
闇その3、ランニングコストと世話。 EMS機器にはジェルシートなどの消耗品や充電といった維持の手間がある製品が多い。メディカルコアを検討するなら、本体価格だけでなく、続けた場合の維持コストや付属条件までリンク先で確認してから決めるべきだ。買った後に「シート代で心が折れる」のは、EMS界隈ではよく聞く挫折パターンである。
闇その4、刺激の好み。 電気刺激特有の感覚は、快適と感じる人と苦手な人にはっきり分かれる。体質や体調によって合う合わないがある領域なので、使用前に説明書きをよく読み、体調に不安がある人は事前に医師へ相談し、使っていて異変を感じたら使用を中止してほしい。
総評すると、これは「運動の上位互換」ではなく、「何もしないことの上位互換」だ。腹筋を自力で続けられる人から見れば、回り道に見えるだろう。その見立ては正しい。だが「何もしない」を10年続けてきた俺にとっては、ゼロがゼロでなくなること自体が事件なのである。
ジム・自重トレ・腹筋グッズと比較:続かない人のための選び方
ここでロジカルに、「腹筋が続かない人類」の選択肢を4つに整理する。
(1)根性・自重トレ派。 コストゼロ、始めるのは今日からでも可能。ただし継続率は俺調べで最低。「今日は疲れてるから」という悪魔の呪文に対する防御力が皆無だ。
(2)ジム派。 金を払う強制力と環境の力は本物で、続く人には最強の選択肢。ただし「行く」という工程が挟まる時点で、俺のような延期強者には敗北フラグが立つ。行かなくなったジムの会費は、世界で一番静かな固定費である。
(3)腹筋グッズ派。 ローラーやシットアップベンチ。安くて合理的に見えるが、結局「自分が動く」ことに変わりはない。器具は意志を代行してくれない。わが家の物干し場が詳しい。
(4)EMS派。 メディカルコアはここ。唯一「自分が動かなくても刺激が入る」選択肢で、意志力への依存度が最も低い。そのかわり価格は高めで、運動そのものの代わりになると考えるべきではない。立ち位置としては、運動習慣ゼロの人間の「最初の一歩」、あるいは「何もしない日の保険」だ。
コスパの考え方にも触れておく。EMSの支払いは「本体+維持費」の総額で見るべきで、仮に本体を数万円、維持費を月に数百〜数千円と置くなら、比較対象はジムの月会費あたりになる(金額はあくまで仮の計算なので、実際の価格は必ずリンク先で確認してほしい)。ジムに通える人はジムのほうが得だし、通えない人には「通わなくても発動する」ことに差額分の価値がある。要は、自分の継続実績との相談だ。
選び方の結論はこうだ。過去に運動の継続で一度でも成功体験がある人は(1)〜(3)でいい。一度もない人だけ、(4)を検討する資格がある。 逆説的だが、これは「続けられる自分」への課金ではなく、「続けられない自分」を認めた人間のための道具である。
買ってはいけない人も明確にしておく。一、すでに筋トレが習慣化している人。あなたには要らない。二、劇的なビフォーアフターを期待している人。がっかりする未来しか見えない。三、本体と維持費のトータルを見て「続かなかったら痛い」と感じる人。その直感は大事にしたほうがいい。
結論:「意志力は外注しろの法則」
最後にまとめよう。今回俺が打ち立てたのは「意志力は外注しろの法則」である。
人は、意志力で習慣を作れると信じたがる。だが延期の県大会代表として断言できる。意志力は当てにならない。当てになるのは、意志力を必要としない仕組みだけだ。掃除が続かないならロボット掃除機に、貯金が続かないなら自動積立に外注するように、腹筋への刺激はEMSに外注する。それは怠惰ではなく、自分の性能を正しく見積もった上での設計である。
念のため最後にもう一度書いておく。これは俺個人の体感の記録であり、何かの変化を保証する話ではない。感じ方には個人差があるし、体調や体質に不安がある人は使用前に説明書きの確認と専門家への相談を優先してほしい。
メディカルコアは、俺の腹筋を劇的に変えてはいない。だが「今日も何もしなかった」という夜の敗北感を、「とりあえずスイッチは押した」に置き換えてくれた。この差は、数字にはならないが小さくない。価格や消耗品の条件は変動するので、まずはリンク先で現在の内容を確認してほしい。そして買う前に一度だけ自問してほしい。「俺は、明日から自力でやる人間か?」——答えが10年前から同じなら、外注の検討時期だ。


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