アディダス ウルトラブースト レビュー|6年間、代替わりしながら履き続けた男の「定番」論

ニットアッパーのランニングシューズ

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靴のレビューで一番信用できる指標は何か。俺は「リピート回数」だと思っている。

一目惚れは誰にでも起きる。買った直後の絶賛も、財布へのいいわけ込みで割り引いて読むべきだ。だが、履き潰して、また同じ靴を買う。それを二度、三度と繰り返す——ここまで来ると、もう好みではなく生活の一部である。俺にとってそれがアディダスのウルトラブーストだった。最初の一足は2018年。以来6年にわたり、ソールがくたびれるたびに代替わりさせながら、俺の足元のレギュラーポジションを守り続けた。

先日、俺の足元はアディゼロ アルクに世代交代した(その顛末は別の記事に書いた)。だからこそ今、送り出す側の落ち着いた目で、この6年間の相棒について書ける。

ウルトラブーストとは:「ふわふわ」を世に広めた張本人

ウルトラブーストは、アディダスのランニングシューズの看板シリーズだ。核になっているのはBOOSTフォームというミッドソール素材で、発泡させた粒を無数に固めた構造が、着地の衝撃を吸収しながら反発も返す。今でこそ「厚底でふわふわのスニーカー」は市民権を得ているが、その空気を最初に作った立役者の一角がこいつである。

ニットのアッパーが足を靴下のように包む設計も特徴で、走るための靴でありながら、街履きとしての完成度が異様に高い。だからランナー以外にも愛用者が多い。モデルは毎年更新されていくので、細かい仕様と現在の価格はリンク先で確認してほしい(リンク先は代表的な現行系モデルだ。世代ごとの違いはあれど、BOOSTのふわふわという芯は共通している)。

6年履き継いだ本音レビュー

俺の感想はこうだ。

最初に履いたのは2018年だったと思うが、ふわふわした履き心地にびっくりした。以来6年にわたり、アディゼロ アルクになるまで代々履き続けた名スニーカー。とにかく歩くのが楽。

光の話をしよう。2018年、初めて足を入れた日の衝撃は今も覚えている。「靴の中に弾力のある地面がもう一枚ある」ような感覚。それまでの俺のスニーカー観は「デザインで選び、履き心地は我慢するもの」だったが、ウルトラブーストは履き心地が主役になれることを教えてくれた。

そして6年続いた理由は、初速の感動ではなく巡航性能にある。とにかく歩くのが楽なのだ。駅までの道、出張の移動日、子どもと歩き回る休日。一日の歩数が嵩む日ほど、夕方の足の残量に差が出る。ニットアッパーは足あたりが優しく、脱ぎ履きも楽で、「今日はどの靴で行くか」を考える必要がない。毎朝の無意識の選択に勝ち続けた靴、それが定番というものの正体である。

代替わりを重ねられたのも大きい。モデルが更新されても「ふわふわで歩きやすい」という芯がブレないので、買い替えのたびに靴選びをやり直さなくて済む。これは地味に凄いことで、定番を持つとは「靴選びという意思決定を外注する」ことなのだ。

闇も書く。第一に、BOOSTフォームは無敵ではなく、履き込めばへたる。ふわふわは消耗品であり、数年単位での買い替えが前提になる(だから俺は「代々」履いたわけだ)。第二に、ニットアッパーは雨に強くない。染みてくる日は素直に別の靴の出番だ。第三に、価格はスニーカーとして安くはない。ただしセール対象になりやすいシリーズでもあるので、急がない人は時期を選ぶ余地がある。

2018年の初履きの日のことは、今でも思い出せる。スポーツ用品店の試着スペースで、片足だけ入れて立ち上がった瞬間、「ん?」と声が出た。床の感触が、さっきまでと違う。踏むと沈み、沈んだ分だけ押し返してくる。店内を意味もなく二往復し、もう片方も履き、さらに二往復して、レジに向かった。靴で衝撃を受けた経験はそれが初めてで、以来、俺の中の「スニーカーの基準点」はこの日に置かれている。基準点になった靴は強い。その後どんな靴を試しても、頭の中で「ウルトラブーストと比べてどうか」という審査が自動で走るからだ。

6年間の実績で特に記憶に残っているのは、出張の日々である。慣れない街を一日中歩き回る出張は、靴の性能テストとして過酷な部類だ。会場と駅とホテルの間を往復し、万歩計が悲鳴を上げる夕方でも、ウルトラブーストの日は足が「まだ行ける」と言う。以来、出張カバンを準備する前に、まず足元がウルトラブーストで確定するようになった。旅の荷物は迷うのに、靴だけは迷わない。定番を持つ人生の楽さは、こういう場面に出る。

セール攻略についても、6年通った者として付言しておく。ウルトラブーストは看板シリーズゆえに流通量が多く、モデル切り替えの時期に旧世代が値下がりする傾向がある。そして前述のとおり、世代が変わっても「ふわふわで歩きやすい」という芯は共通だ。つまり最新世代にこだわらないなら、一世代前を狙うのが賢い買い方になる。俺の「代々」の中にも、定価で迎えた代とセールで迎えた代があるが、足の上での働きに差はなかった。見栄は財布に、快適は足に聞け、である。

総評するなら、「歩くのが楽」を6年間裏切らなかった、街履き快適系の教科書。一足目の快適系スニーカーとして、今でも指名できる

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ウルトラブーストは今買いか:快適系スニーカーの中での立ち位置

快適系スニーカーが百花繚乱の今、ウルトラブーストをどう位置づけるか。3つの視点で整理する。

視点1:初めての快適系なら、大本命。 ふわふわ系の元祖格であり、街履きとしてのデザインバランスは今なお優等生。快適系の入口として外しにくい。

視点2:すでに最新の厚底に慣れている人には、驚きは薄い。 俺が最終的にアディゼロ アルクへ移ったように、「歩き」特化の最新設計と比べると、ウルトラブーストは万能型ゆえの器用貧乏さも見えてくる。感動の鮮度を求める人は最新勢も見比べてほしい。

視点3:デザイン重視の人には、依然として強い。 快適系スニーカーは機能が上がるほど見た目が「健康器具」に寄りがちだが、ウルトラブーストは服に合わせやすい顔を保っている。快適とおしゃれの交差点に立ち続けているのは、実は希少だ。

買ってはいけない3か条。一、雨の日が主戦場の人(ニットは水と仲が悪い)。二、一足を5年10年履き潰したい人(ふわふわは有限だ)。三、走りのタイムを削るのが目的の人(それは同じアディダスでも別部署の仕事である)。

これから一足目を迎える人のための実務も、6年ぶんの経験からまとめておく。

Q. サイズ感は? ニットアッパーは足あたりが柔らかいぶん、大きすぎると中で足が泳ぐ。俺は普段のサイズでちょうどよかったが、足幅が広い人はレビューの実測報告を数件確認してから決めると安全だ。ニットは適度に伸びるので、幅への許容力は見た目より高い。

Q. 走れる? もちろん走れる。ただし現代のレース向けシューズと比べると、性格はあくまで「快適寄り」だ。ジョギングや健康維持のランには十分すぎる相棒だが、タイムを縮める競技志向なら専用機の世界がある。俺のように「走るのはたまに、歩くのは毎日」という人間には、この配分がむしろ理想だった。

Q. 洗える? ニットアッパーは汚れが染みやすい代わりに、部分洗いには素直に応じる。中性洗剤とブラシで優しく、が基本だ。白系を選ぶ人は、防水スプレーを新品のうちにかけておくと寿命が変わる。黒系はその点、無精者の味方である。

Q. 履き替えのタイミングは? ソールのふわふわが「あれ、こんなもんだったか」と感じ始めたら、それが交代のサインだ。見た目はまだ元気でも、クッションの中身は先に引退している。快適系スニーカーは、外見ではなく足裏の感覚で引退を判断してやってほしい。

そして最後に、6年選手からの助言をひとつ。気に入ったら、セールのときに次の一足を「控え」として確保しておくといい。定番シリーズとはいえ、好みのカラーは永遠には売っていない。相棒の後継者は、相棒が元気なうちに探しておくものだ。人事と同じである。

ところで、6年も同じ系統の靴を履き続けて飽きないのかと聞かれることがある。答えは簡単で、定番は「飽きる・飽きない」の軸の外にいる。白い皿や無地のTシャツに飽きたと言う人がいないのと同じだ。生活のインフラになった道具は、嗜好品の審査基準から卒業する。むしろ何も考えずに履ける日々の積み重ねこそが、このシリーズが俺にくれた一番の贅沢だったのだと、履き替えた今になって分かる。

結論:「三代続いたら、それはもう好みではなく相棒の法則」

最後にまとめよう。今回の教訓は「三代続いたら、それはもう好みではなく相棒の法則」である。

一足目は出会い、二足目は確認、三足目からは生活だ。レビューサイトの星の数より、自分が同じ靴を三度買ったという事実のほうが、よほど雄弁な五つ星である。ウルトラブーストは俺の6年間、その五つ星であり続けた。世代交代した今も、あのふわふわに足を入れた2018年の驚きは、俺のスニーカー観の原点として残っている。

「歩くのが楽」という当たり前で最強の価値を、まだ体験したことがない人へ。現在のモデルと価格をリンク先で確認してほしい。あなたの「代々続く一足」の初代になるかもしれない。

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